2009年04月18日

EECY改めEECA(仮)・桜3

はてさて。

略語を考えていて、ここはもう、EECYからEECAに変えてやろうともくろんでます。

……いやその。
Environment and Environmental change for YOUKAI、を
Environment and Environmental change for Ayakashi にするだけなんですけど。

でも、EECYだと、読み方が判らんのですが、
EECAだと「エーカ」になります。
こういう略語って、こうやって『読める』ようにする場合多いですよね。
時折「おい、そこで変なこじつけすんなや」と思うこともあるけれど。

というわけで、これまでのEECYを、EECA、と読み替えてご覧下さい。

(桜の樹の下には屍体が埋まっている!)
 梶井基次郎のあの作品は、冒頭のこの一文のインパクトに尽きている気がする。
 そしてこの場合……桜の鬼達の意図も。


 ああやっぱり、環境や生態やってる人から選んだ甲斐がありました、と、田崎さんはにこにこ笑っていた。
「いや、選んだ甲斐つか……割とこう、解析以前というか」
「でも、こういうのは、やっぱり森林のことを知らないと直ぐには出てこないでしょう」
 そりゃまそうかもしれないけど。
「天然林って情報は、私達には無いし。それに衰退しかかってるってのも知らない」
 馨さんの淡々とした声は、けれどはっきりと『褒めていてくれる』声。結構……これは珍しいかもしれない。

 ただそうすると。
「しかし……どういうこと、ですかね」
 仕切りなおす問いが、妙に重い。

「どうなんですかね、人間の生気とかを枯れかけた樹に注いだら、樹って元気になるものですか?」
 この場合順当な問いだと自分では思うんだけど、あとの4人は何となくぎょっとしたように見えた。
「……いや、それは……判りませんねえ」
「試したことのある『人間』はいないと思うけど」
「いや、試してって……そりゃ人間は試さないでしょうけど」
 あ、いやでも、昔の人が、仕えている殿に『この桜を蘇らせよ』とか言われたら、素直にやっちゃうかもしれないし、その結果『桜の下には』なんてあのフレーズが出てきたのだろうか…………って。
 そうじゃなくて。
「あの、最初の一回、桜の樹を切った時ですよ。それってどうやってその樹を選んだんでしょうか」
 ああなるほど、と、呟いたのは片帆さんだった。小さな声が、細く研いだ刃のように鋭く響く。
「それは……そこにはありませんよね、そういう情報は」
「ええ」
 手元の書類には、場所と被害者の年齢と性別、発見位置、日時、それと特記すべきこと……程度しか書いてない。まあ一応、警察の内部情報なんだろうから、部外者(=この分室の面々)に、全て見せるわけはない、と、判っているけど。
「でも、確かにそういう情報は欲しいですね」
「はい」
 声を出したのは自分だけだったけど、流石にこれは全員がうんうん頷いてた。そうだろうね、というように田崎さんも頷き、そして改めて一つ、うむ、という風に頷いた。
「判りました。こちらから……そうですね、零課のガーゴイルとピーピング・トムの使用許可を貰えるよう、頼んでみます」
 ガーゴイルと、ピーピング・トム?
「田崎さん、それは何ですか?」
 不思議そうに尋ねた片帆さんに、田崎さんは、ああそうか、と呟いた。
「ピーピング・トム、が、情報検索プログラムです。ガーゴイルはそれを保護するプログラム。……ああ、そうは言っても……そうですねえ、プログラムというのはおかしいか。あやかしです」
「は」
「あやかしなんです。情報検索と、その保護の為の」
 ……零課って……あやかしを退治したついでに、そういうことにまであやかしを使うのか。
「……いや、仕方ない面はあるんですよ」
 多分全員、そういう『うわあ』みたいな顔になってたんだろう。田崎さんは慌てたように言った。
「零課は……まあ、相手が異能者である場合、外部からも助っ人を頼むことがあります。本当に特殊な異能持ちに、一時間手伝ってもらったらもう充分って場合があるんですよ」
「へえ……」
「でも、そういう相手に色々内部情報を教えるわけにはいかない。だけどそういう人達だって、手伝う為には情報をある程度は与える必要がある。そういう場合、この二人に登録して頼んでおくと、この二人のほうで情報公開の範囲を規定してくれるんですよ」
「……はあ……」
 聴けば聴くほど、『うわあ』になってきたので……なんというか諦めた。これを一度に呑みこむのは、かなり無茶な気がする。

「えーあ……あ、それで、ですね、まだこれ、情報途中なんですけど」
「あ」
 多分わけ判らん会話になってしまったからだろう、ゆっくりと自分の席に戻りかけていた馨さんが、慌てて戻ってきた。
「そういえばそうだった」
「あー……すいません、なんか脱線させちゃって」
「いやそれは無いけど」
「でも、まだ途中って、あとはなんなんですか?」
 目を見開くようにして、タカちゃんが尋ねる。
「ええと……まず3年、次の3年と見てもらいましたが、そのまた次の3年は、ちょっとまたこれ、違うんです」

 開いていた画面を一度整理し、また違う画像を呼び出す。
「……え?」
 見ていた三人(田崎さんは除く)が声をあげた。
「ええっとこれ……え、被害者しか見つかってない?」
 赤の点は、かろうじて一点。遺体の発見は7箇所。犠牲者の人数は前の3年よりも増えているのに。
「これ……赤の点は、吹利で見つかったってこと?」
「そうなります」
 ぽっちりと、赤の点は、一つ。これに対応する遺体は、確かに発見されている。
 けれども。

「つまり、どういうことだと思いますか」
 語尾は疑問文と平叙文の中間。つまり、田崎さんは答えをある程度知っているか予測していた、ということか。
「……厭な話だが」
 ちょっと手をあげて、発言をしたのは馨さんだった。
「その前に、一つ質問させて頂きたい」
「何でしょうか」
「この……EECA、うちは吹利分室ですが、他の県にはあるんですか」
 一瞬話が飛んだのにきょとんとして馨さんを見る。馨さんは真面目である。
「ありませんね」
 答えはごく単純だった。
「というか……私もわからないんですよ。吹利以外にこういう部屋を作る必要は無いのに、どうしてうちが『分室』なんだろうか、と」
 そりゃそうだ。自分だって……まあ、確かに自分が瞬間移動できるから、ESPなんかが存在していることは判っている。一応は、幽霊だの何だのが見えたり、その気配がわかったりする。だけど、まさかこういう部署があって、ESP持ちだの狐だのに対して真面目に対処したり研究したり逮捕したりしてるなんて思わないじゃないですか普通に。
「それが?」
「ああ、そこは別に問題じゃないんです」
 馨さんは、黒板消しを動かすような手つきをした。
「ただ、それならば、無論他の地域で、桜鬼達が同じように人間を殺しても」
「……ええ、判らない。そもそも鬼、というものは架空、くらいしか考えられていないんです」
 まあ……うん、誰かがそう考えて面前で断言しても、それにうんうんと頷いて同意を示すことができると思う。当たり前だそれ。
「ですから、被害者が県外で殺されたとしたら……その人達の住所は判っても、どの桜の樹がそれをなしたのかは、わかりません」
「やっぱり」
 そこまで聴くと、流石に自分でも判る。当然馨さんは納得が行ったようで、深く頷いた。
「つまり、彼等は、他の県の……多分桜の下から消えた、ということですね、つまり」
 淡々とした声は、その言葉をかえって恐ろしいものへと変える。
「桜鬼は、吹利県だけに居るわけじゃない。彼等は他の県で……同じことをしている」
posted by 片帆 at 23:18| Comment(2) | TrackBack(0) | EECA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログフカーツおめっ!
この日を待っておったぞ・・・ニヤニヤリ
Posted by りぷ at 2009年05月02日 19:28
ぎゃーーー
りぷさん反応早いですよっ
……内容については、内密に、と申しますか……ああああああ(汗)

Posted by 片帆 at 2009年05月06日 23:41
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